私の家は少しわかりにくく、区の職員さんでも「ちょっと場所がわからなくなったんですが・・・」と迷われることがあるのだ。
目印になるものもない。
建物名が建物のどこにもないので、住所だけで家に辿りつけた人はそうそう居ないのだ。
「住所だけで家に辿りついた数少ない人」に友人の近藤ナツコちゃんが居る。同じ住所の家が数軒あるというのに、3ヶ月程前に自転車で家から迷わずに来れて、あれまーと驚いたのだった。
今日はまた自転車で家に来てもらうことになった。
本日、猛暑。
日中の一番日差しが強い時間に自転車で2〜30分走るのはちょっと可哀想。クーラーをガンガンつけておくから早く到着して涼んでもらおう。
と、思ったのだが、20分後に着くという連絡があってから一向に来る様子もない。
用事が急に出来たのかなぁ。
何かあったのかなぁ。
いろいろちょっと心配になってきたが、
まぁ、待っていればいいか。
と、ベッドにゴロンと転がって待つことにしたのだった。
しばらくすると電話が鳴った。
「もしもし」
前にすんなり来れたので安心していたが、なっちゃんはちょいと迷ってしまったらしく、すぐ近くまでは来ているけれどどうしてもわからないからと電話を掛けてきたのだった。
「近くに何がある?」
「えっと・・・小さい公園があって」
「うんうん、そっちね。わかった」
「それから@@っていうのがある」
「は?」
よく聞き取れなかったがそれはどうも学校らしい。
でも、私も初めて聞く名前なのだ。
今度は私が尋ねる。
「それってどこ」
「@@ってとこの近く」
「@@って、私も知らない」
「ここ、どこ」
なっちゃんもわからないだろうが、私もわからない。その後今どこに居るのかを一つ一つ検証していくと随分離れた位置に居ることが発覚。住所の番地をちょこっと覚え違いをしていたことから全然違う所をウロウロすることになったようだった。
心なしか、なっちゃんは焼けていたみたいだった。
「もう溶けてると思う・・・」
アイスをもらい・・・・。
やっぱり顔が赤く焼けていた。
世界の中心で、愛を叫ぶ。ならぬ・・・
杉並のはじっこで、道に迷う。
それが夏の日中だったら、ハワイにでも行ってきたのかと思うぐらい日に焼けるのである。