夜の高円寺は、私が中野に住んでいた頃と景色が変わったように思う。路上に椅子を出している店が増え、屋台村のような景観となり、そこに平日でも朝方まで人が結構飲んでいる。渋谷も日々「今日は何かのお祭りですか?」のような景色だが、高円寺も毎日「今日は何かお祭りでもあったんですか?」のような、謎の盛り上がりに包まれるようになった。
高円寺は道も店に含む。
ようになった。
だから、道を歩いていると食べ物の匂いだけでなく、煙がもうもうとしていて、ふと「日本ってこんな国だったっけ」と思ったりもするのだ。
朝まで屋台村の高円寺からバイクで10分。
夜の7時になると、もうシーンと静かな夜を迎えるのが家の辺りなのだ。
なのだが、家の近くにも謎エリアがあるのだった。
最初、そこはお店なのかなと思っていた。
うどん屋さんかそば屋さんのような店構えで、だが看板が出ているわけでなく、普段は物が無造作に積んである。どうも上が建設会社の寮のようで、たまに1階部分で草野球チームの打ち上げのようなものををやっているみたいで、一般のお客さんが入るような店ではないことはわかったのだった。
しかし、その店っぽいところは、この3年でも少しずつ増築をしている様子。見た感じ割と立派な大きさの店になっていたのだ。
そうして、この店もついに最近道に椅子を出して休みの度にバーベキューをやるようになったので、散歩で前を通ると焼き肉の匂いや煙が道いっぱいに広がっているのだった。
道に座っている人は、堂々としていて、前を歩く方がコソコソしているようにも思う。
そのうちにベッドが置かれ、人がゴロンとくつろぐようになるんだろうか。
”前を失礼いたしまぁ〜〜す”
私の生活圏では今、少しずつ道が道でなくなってきているのである。