昨夜から血圧が低いので昇圧剤で血圧を上げてもらっている。昇圧剤なしで血圧が90以上になったら、Aラインという手首に刺さっている管を抜いてもらえる。私はこの手首に刺さっている管が大嫌いなのだ。こんな場所に針が刺さっているのは何とも気持ちが悪い。早く抜いてもらえないだろうか。血圧は薬を使わないと80ぐらい、確かに低いなと思うがこれは術後だんだん良くなるらしい。熱も8度あるが、他がしんどいせいかあまり気にならない。熱もまた術後安定してきたら下がるらしい。
背中に刺してある管は硬膜外麻酔の管で、哺乳瓶みたいなものを私はぶら下げている。そこから痛み止めが送られて痛みが少し和らぐのだそうだ。痛みが強い時は哺乳瓶の付属の注射器を押すと麻酔が追加される。昨日から追加麻酔を結構使ってもらっている。痛みとしては身体の内側をブロック塀みたいなものがガンガンと叩かれているような重い痛みがある。
「はい、では一度起きてみましょう」
看護師さんが私を見てニコニコ笑っている。
最近は術後すぐに動かされるということを聞くが、こちらがうううむと唸っていても容赦してもらえない。
「起き上がって、それでお水を飲んでみましょう」
一日寝ていただけで身体ってこんなに動かなくなるのかしらというぐらい身体が重かった。なんとか身体を起こして水を飲んだら「合格」をもらった。その後おしっこの管を外してもらって、酸素マスクが鼻からのチューブにかわる。状態がいいので午後になったらICUから出られるようなことを聞いた。
遅めの午後、13階にある一般病棟の個室に移動をした。
窓のある部屋はやっぱりいいなぁ。
血圧が90台を維持出来るようになってきたので、夜になってAラインの管が抜けた。身体についているまだいくつかの管が抜けるとだいぶ楽になるだろう。
「では、ちょっと歩いてみましょう」
ほ、ほんとですか。フラフラなんですけれど。
それに目が開きません。
筋無力症の症状がちょびっと出ていて、術後のしんどさに加えて持病のしんどさもある。歩けるのかしらと自信がなかったが、容赦してもらえなかったので、歩行器で30メートルほど看護師さんに付き添われて歩く。
スパルタなのだ。
フラフラのヨボヨボだが、かろうじて歩けた。
鬼だと思ったが、歩けたら達成感の方が大きくなった。
なんだかよくわからないが、言われるまま頑張ってみよう。
麻酔などで頭がぼんやりしている。
生命力が落ちている時は深く考えない。
それが一番よい。
長くて短いような一日だった。
月別アーカイブ : 2010年9月
2010年09月29日
手術日。
朝、手術着に着替える。昨日麻酔科に行った時にビデオで見た「手術の日の流れ」の通り、時間が来ると看護師さんに付き添われて6階にある手術室へ歩いて行く。今までの手術はストレッチャーに乗せられて運ばれていったので、トコトコ歩いて手術室に行くというのが少し違和感がある。だが、自分が知らなかったというだけで、歩いて行ける患者はこうして歩いて手術室に向かうのが「普通」のようだ。
一見、給食室のようなこの手術部エリア。奥の方に案内をされて扉があくとベッドが置いてあり、「こちらにどうぞ」と言われた。
<はぁ〜っ。今から手術かぁ。>
一瞬ベッドが死刑台に見える。助けてもらうはずの場所なのだが、こんな時には咄嗟に悪いイメージが浮かぶのであった。
ベッドに横になり、左手の甲に点滴の針が刺さる。次に横を向いて背中からまた針を刺されてもう一度仰向けになると軽く手を拘束された。
<やっぱり、手術は怖いな>
そう思ったが、仰向けになって呼吸をし直したらふと恐怖が消えた。何かあたたかい大きな力が自分を守ってくれている。その時私はそんな力を確かに感じていた。
「ではこれから麻酔を入れて行きます」
そう言葉をかけられると、それからすぐに頭が重くなって視界がぼんやりしたなと思ったら意識がなくなっていた。
「吉川さん!」
「吉川さん!」
目が覚めたらしんどかった。喉に入っている呼吸器の管が苦しかったが、これはすぐに取ってもらえたのでだいぶ楽になった。
「終わりましたよ」
<え?そうなの?>
手術、終わったんだ・・・。
ここはICU。手術が終わった患者さんが入る場所で、一日中機械のピッピッという音が鳴っている、ちょっとものものしい場所。手術が終わりここに運ばれて来たらしいのだった。
しんどい。
でも、終わったんだ。
今日は筋無力症の呼吸困難が合併症で出るリスクがあるらしい。酸素マスクとおしっこの管がついていて、点滴の針は麻酔で眠っている間に更に2つ増えていた。
手術は終わったが、意識が戻ってからは継続して痛くてしんどい。身体に負荷がかかって生命力が下がっている感じがする。背中の管から入る痛み止めと筋肉注射の痛み止めを打ってもらい、<ここからは少しずつよくなるんだ>ということを繰り返し頭の中でつぶやきながら過ごした。
丸一日、眠れなかった。
でも、終わったよ。
だから頑張って耐えて乗り切ろう。
手術って手術後がそういえばすごくしんどかったなぁと昔のことを思い出しながら横たわっていた。
2010年09月28日
入院日。
考えてみたら、「いついつに入院をして下さい」と前もって予定をもらって入院をするのは初めてのことなのだ。
まず入院受付に行く。手続きを終えたら薬剤部に行って普段飲んでいる薬をここに預ける。病室に案内をされてホっと一息と思いきや、麻酔科に行って麻酔の説明を受けて来て下さいという指示が出る。
麻酔科で明日の手術の流れをビデオで見てその後問診を受けると、その後はレントゲンの検査が待っていた。
結構忙しいなぁ。
でもきちっとしたマニュアルがあるのは安心だ。病棟の看護師さんだけでなく、手術部の看護師さん、ICUの看護師さん、麻酔科の先生が次々に明日の手術のことで訪ねて来てあっという間に夕方になっていたのだった。
これぐらい慌ただしい方が、余計なことを考えずに済むからいいかもしれないなぁと思った。もういよいよ時間も迫ってきたので、まな板のコイのような境地になれたかもしれない。
と、思っていたら・・・・。
外科の先生からの明日の手術についての説明を別室で受けるとのことで呼び出されたのだった。
簡単な麻酔や検査でも一筆書かねばならないのと同じで、手術前にはリスク説明とサインをするのが通常の流れらしい。紙をもらってそれに沿って合併症などの説明を受けるのだが、これがまた恐ろしいことばかり書いてあるではないか。中に「手術後の出血」という項目があった。”止血の為の再手術が必要となることがあります。頻度は1%。”と説明があり、このブロックは割と安心材料として述べられている箇所にあたるのだが、10年前の手術で私はまさにこの1%に該当し瀕死になった。
うむむむむーーー。
結局これら合併症の項目が16もあり、そのどれもが恐ろしいことを書いてあり、了承サインをしたあとにグッタリしたのだ。
「以上の説明で、何かわかりにくい点はありましたか?」
「いいえ・・・。でも説明を聞いて急に手術を受けるのが怖くなりました」
まな板のコイは急に仕掛けに掛かった野生の猿になり、今更暴れたい気分になったのだ。
手術前のリスク説明は身体に悪い。
手術前の患者はみなそうなのか、寝る前に睡眠剤をもらった。
もっと自分は繊細に出来ていると思っていたが、薬がよく効いてコトンとすぐに眠りに落ちていったのであった。
吉川みきよりみなさまへ
急に寒くなってきましたが、いかがお過ごしですか?
いよいよ明日から入院、そして明後日は手術です。
病院はパソコンの持ち込みが出来ない為、blogの方はしばらく更新が出来なくなりますが、携帯は使えるそうなので、携帯からツィットしますのでまたよろしければtwitterにも遊びにいらしてください!(My spaceでtwitterと同期させています。もしくはMIKIYOSHIKAWA で検索して下さい♪)
それからひとつ、お詫びがあります。
7月の浅草kurawoodでのジョイントライブの際に、次回は11月11日ですとご来場頂いていたお客様に予定をお伝えしたのですが、11月の黒川あつ子さんとのジョイントは延期させていただき、また日をあらためて組み直させていただきます。楽しみにして下さっていたみなさま、あっちゃんはじめ関係者の方々、本当に申し訳ありません。
今回もご心配やご迷惑をたくさんおかけしてしまいましたが、また元気になって帰って来ます。どうぞこれからもおつきあい下さい。よろしくお願い致します。
寒くなってきたので、みなさんも体調を崩さないようお過ごし下さいね。
いつも本当にありがとう。
行ってきます!
2010年09月24日
「肌寒い」ってこういう空気のことをいうんだったよなぁ。
9月の中旬を過ぎても夏が何度も戻ってきて、もしかしたらこのまま寒くならないのかもしれないなぁということが頭をよぎったりもしたけれど・・・・。
秋に変われば急に温泉が恋しくなる。
行きたいなぁ。温泉。
雑誌は秋の温泉特集を組むものがちょっと増えた。
もう秋。
うん。今度こそ、
本当に夏とお別れの気がする。
四季の中で夏だけが過ぎていく時に「さようなら」の寂しさを感じさせる。
大好きな季節でもないのに、居なくなるとやっぱり寂しいね。
また会おうね。
目一杯あつかった今年の夏。
2010年09月22日
しばらく家を空けることになるので、ゴミの日を頭に入れながら過ごすようになった。
食材などの買い出しも賞味期限を合わせて買う。冷蔵庫に物を残さないように計算しながら暮らしているので、いよいよ冷蔵庫の中が寂しくなってきたのだ。
「牛乳は・・・・まだ必要か」
買い物かごに入れる。
「卵はもう買い足しはしない、と」
自分は食にはそれほど執着心がない方だとは思うのだが、冷蔵庫の中があまりに生活感がなくなると、生活がさびれた感じがして自分の家ながら落ち着かない状態になってきた。
一方、旅行に行くみたいに大きなバッグに入院の準備の品物を詰め始めた。しかし化粧水や歯磨きコップなど、家を出る直前まで使っているものはまだ入れられないので、こちらも中途半端な感じがして落ち着かない。
オリーブの木に今年始めて実が成ったが、水をやれなくなるから実は熟すまでに枯らしちゃうんだろうなぁ。残念だが、まぁしょうがない。
衣替えをするのは帰って来てからにしよう。
引き出しを開けてまた閉める。
ダンボ、しばらく会えなくなるけど元気でね。
犬って明日のことって知らないんだなぁ。
どうも最近、家での居心地がしっくり来ない私と対照的なダンボ。
ゴロンと横になって毛繕いをしている姿が唯一、この部屋の中であたたかい温度を保っていた。
みなさまへ 吉川みき
いつも遊びに来て下さってありがとうございます。
6月に受けた健康診断で胸の辺りに異常があるということで、再検査を重ねてきたのですが、今回5〜6センチの胸腺腫があることがわかりました。その後検査の結果、他への転移がないことと腫瘍は悪性度の低いものという診断を受け、今月末に手術を受けることとなりました。
今後の予定は28日(火)朝に入院をし、29日(水)午前8時40分に手術室に入り、順調に進めば3〜4時間で手術が終わるとのことです。その後の治療方法や入院期間などは手術の結果によるのでまだ見えてはいないのですが、詳細がわかり次第またご報告をさせて頂きます。
関係者のみなさまに大変ご迷惑をおかけ致しましたことを深くお詫び申し上げます。いつも応援をして下さっているみなさま、ご心配をおかけ致しますが治療を受けてまた元気になって戻ってまいりますので、待っていてください。どうぞよろしくお願い致します。
2010年09月14日
夕方、電話が鳴った。
「はい、もしもし」
「もしもし、吉川さんのお宅ですか」
電話口に出ると男の人の声だったので、それまでは忘れていたのだったが病院の先生からなのではないかと咄嗟に思った。
本当に、病院の職員さんから電話がかかってくるのではなくて、担当の先生から電話がかかるんだ。ちょっと意外だったが、電話の声の主ははじめましてと自己紹介をその場でされ、そしてO先生と一緒に執刀をするという説明をもらったのだった。
「28日の10時ぐらいに入院をしてもらって、午後から少し手術についての説明に伺います。」
29日の手術日は先生のチームは私の手術だけなのだそうだ。順調に行けば3〜4時間で終わると思います、そう言われて少し今までの自分の病気のことを尋ねられて軽い問診のような会話のあと、電話を切った。
「それでは28日に」
「はい、どうぞよろしくお願いします」
2週間後に入院することが、決まった。
2010年09月13日
今日は手術を受けるにあたっての予備検査の日。
採血が終わると、別室に移動をする。ここで肺活量の検査と心電図の検査をしてその後レントゲンの階に降りて胸部レントゲンを撮ってもらった。
検査が終わると、外科部に行く。
ここで担当の看護師さんから入院の説明を受けた。
10年前の入院生活では大部屋での携帯電話の持ち込みなんて考えられなかったのだが、今は携帯電話もマナーモードにすればOKなのだそうだ。パソコンは7階のパソコンルームまで行かないと行けないのだそうだが、プリペイドカード式でパソコンが使えるらしい。医療も進歩したと同時に入院環境も進歩したんだなぁと思った。
ところで、私はいつ入院をしていつ手術を受けるのでしょうか。
先日、先生は病院から電話が行くと言っていたが、今日の説明では後日先生から直接電話が来るとのことだった。先生から直接家に電話がかかってくる、なんていうのが逆に意外だった。今日の帰りに診察券をどこかにピピっとしに行けば、予定表みたいなものがピピピピ・・と機械から出てきて、その券を持って当日病院に来るというようなしくみかと思ったら、ここだけアナログな感じがする。
なんだか長かったような気がするけれど、もう検査はないのだ。
後は日程が決まってそれに沿って治療を受けるのみ。
そう思ったらほんの少し肩の荷が下りた気がしたのであった。
2010年09月11日
9月に入って、街のディスプレイがハロウィンに変わった。
ハロウィンは10月になってからだったのが、いつの間にか9月に前倒しになっているが、9月は9月でお月見に力を入れてもよさそうなのだが・・・・。
お月見フェアだっていろんなことが出来るのだ。
うさぎの可愛いぬいぐるみやチャーム、スイーツだったら和菓子や月見ロール、食べ物なら生卵を上に乗せたシチューやカレーやハシュドビーフなどが浮かぶのだ。月にちなんだ本や雑貨だってたくさんある。お月見こそ日本ならではの風習なのだから、もうちょっと日の目を浴びたっていいと思うのだ。それになんといっても「月」は神秘的。月のお話をこの一ヶ月を使ってたくさん紹介する、なんていうのもいいのになぁと思う。
もうハロウィンの飾り付けだなんて気が早いなぁ。
と、思っていたら、もう本屋さんでは2011年のカレンダーがたくさん並んでいた。
もう2011年。
今日の晩ご飯のおかずも決まらないのに、もう来年は迫っているのである。