「あれ?bioは?」
「昨日食べたから」
食卓での母娘の会話で始まるヨーグルトのコマーシャルがある。
「ビフィズス菌は毎日出て行くの」
「えぇっ?」
だから毎日食べなくちゃだめよということを片方の人間がもう一方の人間に教えるという形のコマーシャルになっているのだが、前からこのCMに違和感があるのだ。
「あれ?朝ご飯は?」
「うん、今日は食べたくないから」
もし食卓でこんな会話がなされるとしたら、朝ご飯を食べないの?と尋ねる側は「母親」だというのが自然な感じがし、その公式をあてはめるとすれば、このヨーグルトのコマーシャルで「あれ?bioは?」と尋ねるのはお母さんであるというのが、私にとっては自然なのだ。
しかし、コマーシャルは違う。
お母さんが食卓に座って「昨日食べたから」と高校生の娘に返事をしているのだ。
そして冷蔵庫の前に立った娘が「毎日、ビフィズス菌は出て行くの」と母に説明をし、母が食卓に座ったまま「え?」と驚いているのだった。
だ、だ、大丈夫ですか。このお母さん。
いくら娘が高校生になろうとも、母は「今日は雨が降るから傘を持っていきなさいよ」と言い、「え〜、ほんとに降るのぉ」と娘が答えているのが一般的な家庭なんじゃないだろうかと思うのだ。「今日はヨーグルト食べた?」と聞かれて「ヨーグルトは昨日食べたから平気!」と、言っている母親って全国的にどれぐらいの割合で居るのか。
コマーシャルの最後に「美味しい〜」と娘に感想を述べている巻き毛のお嬢様風お母さん。「続けてみる?」と娘に言われて「うん」と言って終わるのだが、観終わるとなんだか腑に落ちない。
このお母さん、大丈夫ですか。
爽やかな映像と、爽やかな天然ボケお母さん。お母さんの腸だけがスッキリし、観ている私はいつも「これでいいのか」と胸の中がどんよりしてスッキリしない気分となるのであった。