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投稿日:2010年10月24日

2010年10月24日

実家の近所に家の一部を店舗にして、たばことお菓子と切手と文房具を売っている店がある。このAという店、今はやっているかどうかはわからないが、私が子供の頃はちょっとした文房具だと家から近いこの店に買いに行くことがあり、他にはたばこや切手も置いてあったので近所の人間にとっては利用する機会が多い店だった。
だが、ちょこっとした時に便利であったにもかかわらず、A店は地元の子供達に愛される店ではなかった。
それはここの店主であるおばちゃんが原因だった。
・・・・と、私は思う。
子供から見た「ご婦人」にはいろんなタイプがある。
「優しそうなおばちゃん」「綺麗なおばちゃん」「怖そうなおばちゃん」「品のいいおばちゃん」「賢そうなおばちゃん」「厚かましいおばちゃん」・・・。いろいろあるが、”怖くても”一目おいていたり、”品がよさそうでも”あまり近寄りたくなかったりと、「いいおばちゃん」か「悪いおばちゃん」かという、そのどちらなのかということが重要だった。
で、このA店のおばちゃんは「悪いおばちゃん」であった。
ここは住宅街。隣りの町内に小さな商店街があるがそれも自転車で出かけるような所で、買い物に関しては不便なエリア。それをいいことに、買い物に来る子供達に心ない物の売り方をする傾向にあったのだ。
店に入り、小さなスペースで文房具を選ぶ子供。それをジ〜っと縁台みたいなものに座って見張りをする。「それ、可愛いやん」「それにしとき〜な」といった風に品物を勧めるのだが、何故かしら心がこもった感じがしなかった。
「あっ、それもいいやん」
「もうそれにしといたら?」
選んであげているのではない。子供がせっかくお金をもらって自分の好きな物を選ぼうとワクワクしている時間に、さほど時間が経たないうちに割って入って来る。そして適当に何か買わせようとするのだった。
勧める品もどんどん変わる。
「それもええと思うで」
「ほな、これ」
「そやし、もうそれにしときって」
あんたは”いらち”か。
心の中では完全に<この人、信用出来ない>と判断しているにもかかわらず「うるさいなババァ」と言えないのが子供なのである。結局その店で”買わされている”児童は多かった。子供達の間では評判の悪い店だったのだ。
私はえんぴつ削りを買いに行って、100円か200円するパンダの人形にえんぴつ削りがついているという本末転倒なえんぴつ削りを押し付けられて以来、「悪いおばちゃん」と認識した。遠足のオヤツが100円までだった頃に、「それにしとき〜な」と皺の深いいかつい顔で言われたが、家に帰った時にすごく無駄遣いをしてしまったような悲しい気分になったのだ。子供ながらに、私が大人だったらあんな勧め方はしないと腹が立った記憶がある。
最近女性達の間ではアンチエンジングが流行っていて、「40代には見えない」「50代だとは思えない」という表現がよくされている。が、子供からしたら30代も40代も50代もおばちゃんに変わりはない。
そして結局、子供達も「おばちゃん」が綺麗なのかどうかではなく人間性がどうなのかを見ている。
世の中のおばちゃんは「いいおばちゃん」か「悪いおばちゃん」のどちらかしかいないのである。