裏の家との境にあったベニヤ板を外してもらったことで、家の壁を叩く音からは解放された。
しかし、同時に何故そのベニヤが立っていたかの理由を知ることとなったのだ。
<前に住んでいた人が一日中換気扇を回していてうるさかったから>
と、いうことはベニヤ板の仕切りがなくなったことで、今度は「裏の家の換気扇の音の被害にまた遭うってことね」と、警戒をされているということなのだ。換気扇を回す音ってそんなに深刻な被害を与えているんだろうか。ちょこっと外を見てみたが、私には特に気に障る音には聞こえなかった。
だがこれからは換気扇を使ったら忘れずに消すことに神経を使うのだ。今度は私ん家がクレームを受ける番ってことになる。
そう言えば実家の住宅街の中に2軒ほど、変わった家があった。2軒共、その家の人が「誰かが家の中を覗いている」と言って鉄条網を家の周りのブロック塀につけていたっけ。犬の散歩をしながら、「すごいバリケードだなぁ」と思って目が行ったので、鉄条網をつけたあとの方が実際には人は覗いていたんじゃなかろうか。
東京でも、中野だったかどこだったか忘れたが、いつもと違う道を通った時にそこもまた鉄条網が張り巡らされている民家があって、なんだか前を通った時に逆にこっちが窮屈になったのだ。
数年前に誰も侵入出来ないように鉄条網を張り巡らせていた家から、家人がかつて殺した女性を家の縁の下に隠していたことが発覚してニュースで話題になった。
もしかしたらあの家だったかもしれない。
なんだか物騒。
私は本当は垣根のない家に住みたい。
道路から花壇や芝生につながる家に住むのは、難しい世の中なのだ。