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投稿日:2010年05月13日

2010年05月13日

赤いスイートピーという名曲がある。この曲のおかげで花の名前に疎い人でも「スイートピーなら知っているよ」という人がずいぶん増えたと思う。
うちでは母がスイートピーと矢車草を毎年この時期に咲かせていたので、5月になると庭にはピンクのスイートピーと濃い紫の矢車草がいつも咲いていた。時には切り花にして学校に持って行きなさいと持たされて出かけたし、私にとっては今花を育てるようになる前から馴染みのある花だった。
が、スイートピーはピンクの花が多い。うちに咲いていたのもピンクだったし、店頭で見るスイートピーもピンクが圧倒的に多い。ある頃から黄緑色やオレンジがかった色や色もバリエーションが増えたが、それらは色のついた水を吸わせることで人工的に色をかえただけで、実際に赤い色のスイートピーというのはこの曲が出た頃にはなかったのだそうだ。
今、自転車で通る道のある家のフェンスのところに数種類のスイートピーが咲いている。
その中に赤いスイートピーがある。
以前はなかった赤い色のスイートピーだが、その後品種改良されて出来たらしく、だが私はなかなかお目にかかることが出来なかった。
確かに見慣れた赤い色でありながら、スイートピーとしては見慣れない色だ。
エンドウ豆みたいな不思議な形をした花。でもフリンジが柔らかい風で、優しい感じがした。
「春色の汽車に乗って、海に連れて行ってよ」
この曲を聴いて”いつか、私も素敵な恋がしたいなぁ”とまだ出会えぬ素敵な恋人に思いを馳せたっけ。
春色の汽車って、東京だったらどの電車かなぁ。
心の岸辺に咲いた、赤いスイートピー。
立ち止まり、赤いスイートピーに心が緩む。
フェンスに春風が吹いていた。
ふんわり揺れていた、赤いスイートピー。