玄関を掃除していたらクモを見つけた。
ウチはクモが多いのだ。家の中でも見つけるし外にも居る。どこからやって来るのか知らないが、ノソノソと歩いているのだが、このクモは丁度私が家に帰って来て玄関から入るのと同じような感じで家の中に向かって歩いていたのだった。
ウチはもうクモは要らない。
阻止しようと、クモの進行方向にじょうろで水を撒いた。
クモは一瞬流れに押されて敷地の方に行ったが、体制を立て直すとまた玄関に向かって歩き出した。
<なにをするのじゃ>
<ワシは家に帰らねば>
その姿はやみくもに進んでいるのではなく、明らかに家の玄関目指しているではないか。
<もうすぐ家じゃ>
いえいえ、ここは私のおうちです。
あなたは巣を張ってそこで暮らして下さい。
もう一度水を撒いて、更にクモを敷地内の遠くに遠ざけた。
これでもう大丈夫だろうと思って、庭の花木に水をやっていたのだが・・・・。
ふと見るとクモはまた玄関に向かって歩いているところだった。
<はぁ〜、くたびれたが、もうすぐ家じゃ>
確かに引っ越して来た頃から玄関でクモを見かけていた。いつもいる部屋から遠いのであまり気にしていなかったが、もしかしたらクモは本当にここを家にしているのかもしれない。
<ただいま>
<帰ってきたぞ>
巣を張ってそこで暮らすのは庶民のクモ。
クモもいろいろ。
このクモは大豪邸に住むセレブじいさんなのであった。