夜、ダンボが急に床を隅から隅まで舐めはじめた。
数年前にもあった。
何かに取り憑かれたように床の隅から隅まで、まるで雑巾掛けをするかのようにペロペロと舐める。吐くためにわざとゴミや埃などをこうして口にするのだ。
体調が悪くて吐く時とはちょっと様子が違う。が、一度床舐めを始めるといくら止めても言うことを聞かない。吐いてそれで楽になるのかと思えば、そこで終わらずにまた床を舐め出す。
これがだいたい半日近く繰り返される。
埃がないとわかると今度はラグの毛をむしり取って食べてしまう。吐くために草を食べるのと同じで室内犬の場合はこうなるのかもしれない。
喉に何か引っかかったような不快感があるんだろうか。
以前に同じことが2〜3回あったが、病院で診てもらっても特に問題なしということだったので、結局は原因はわからないままだ。
どこがどうおかしいの?
なんとか汲み取れないかと様子をジッと見る。
オヤツ、食べる?
そう尋ねると欲しがるので、具合が悪い時とはまた違う状況なのだ。
でもね、やっぱり心配だわ…。だってもう1時間以上は吐いたり舐めたりを繰り返していますよ。あなた。
ネットで調べてみると、同じようなことは他のワンちゃんにもあるらしい。今日のダンボとそっくりなケースが何件か出てくる。
が、それが何から来るものなのかというところには辿り着けない。
困った。
一体どうしちゃったの、ダンボちゃん。
どうもしてあげられずに私自身も方法が思いつかないでいたのだが、一つだけ原因はこれかも…という興味深いブログ記事を見つけた。
それは心因性のもので、最初は確かに喉に何かが引っかかったかなにかで吐こうとしたのだが、その後は原因が消えたにもかかわらず、そのイヤな感覚が消えないことでいつまでも最初の行為を繰り返してしまうということが考えられる、ということだった。かかりつけの獣医さんの、これはあくまでも一意見としての断定できない答えだったかもしれないが、その意見にかけてみようと思ったのだった。
ダンボ、おいで。
床舐めを強制的にやめさせると、ダンボをひざの上に乗せた。
イヤな気分の記憶から、このループから解放させてあげられたらいいのかもしれない。
それから、「大丈夫、もうしんどくないからね」と繰り返し声をかけ、頭を撫でて過ごしたのだった。
すると。
最初はイヤがっていたダンボもだんだん落ち着いてきて、そのうちにひざの上でおとなしく寝てくれた。
そっとそのままベッドに連れて行って、添い寝をしたらいつものように普通に寝ているダンボに戻っていた。
普段しんどい時のダンボは私をよせつけない。
構われるのをうっとおしがって逆に1人になりたがるので、そんな時には一匹の動物として尊重をして付かず離れずの距離で過ごしていたが、例外があったのかもしれない。
ラグ、ずいぶん食いちぎられちゃったけど…
ダンボが穏やかにしているのが、やっぱり一番だ。
明日また元気にお腹空いた‼と言って私を起こしてね。
ダンボは私の宝物なのだ。