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投稿日:2012年07月28日

2012年07月28日

昨日の骨髄穿刺の結果、今回の貧血はほぼ“赤芽球癆“という病気だということがわかったのだそうだ。
今までみたいに鉄分やビタミンが不足していたんじゃなかったとは…。
更にこの“赤芽球癆“が何故起こっているのかを探る為に外注で昨日採取したものを検査に出しているので、結果が戻って来るまであと一週間は入院をして下さいということだった。
結果が出たらそのまま入院治療になるか外来での治療になるかが決まって来るようだ。
“再生不良性貧血“、聞いたことはあった。というか、子供の頃見た山口百恵主演のドラマの中での恐ろしい病名だったんじゃないの。
医学の進歩のおかげで、恐らく当時より予後は良くなっているんだろうが、それにしても筋無力症より稀な病気に更にかかってしまう自分が呪わしい。だったら宝くじの高額当選も人生の中で是非経験させて欲しい、というのが正直な気持ちなのである。
入院してから直接の担当だったS先生は、月曜日から科が移動になるのだそうだ。研修医の先生達は2ヶ月か3ヶ月を区切りにいろんな科での実践を積む。患者の検査や治療方針はチームでの検討、決定で動いているので、いつも来てくれるからといって研修医の先生が決めているわけではないのだが、丁寧な説明と聞き取りをしてもらえて、うんと年下なのに頼れる先生だった。
お別れが寂しいなぁ…そんないい出会いがあったということをせめてかみしめよう。
今夜は隅田川の花火大会があるのだそうだ。それで思い出したが、隅田川花火大会は病室のテレビで一度、入院中に病室の窓から一度見ている。
「反対側のお部屋だと見えるんですけどね」
隣りのベッドの患者さんとの会話で看護師さんがそう言っていた。
夕食が終わって7時から9時の消灯時間までは静かで何もない時間になる。8時を回った頃にお茶を汲みに行ったら、反対側の空室になっている個室で一部屋、絶好の角度で花火が見える部屋があった。
「よく見えますよ」
患者さんに教えてもらって入れ替わりに私が中に入ると、とてもいい具合いにスカイツリーと花火が見えた。空中撮影をしているヘリがその上を3機飛んでいてそれがまるでホタルのよう。綺麗だった。高層階に住むと、窓のそばに立つだけでこんな景色が見えるのか。素晴らしいなぁ。
花火は患者さんをも繋ぐ。
部屋に戻ったら、ルームメイトの2人が立ち話をしていた。
「花火、見ました?」
まるで長い友達のような親しげな表情で話し掛けられた。
いつか。
花火の日に“みんな元気になって家に帰れますように“と願った。
今日も同じ。
みんなの期待を背負って晴れのカードを引いた強運の今夜の花火に願いをかけた。