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投稿日:2012年07月30日

2012年07月30日

月曜日。朝一番に採血。
病院生活のサイクルにも慣れて、今週は検査の結果待ちがあるだけで特に検査の予定はない。
いつものように朝ご飯を食べ終えてひと息ついていた頃だった。
「吉川さん、今日は10時にお部屋移動になります。11階のB棟。もともとのご病気の神経内科の病棟にね、移りますんで、それまでにお荷物全部まとめておいて下さいね」
えぇーっ!
時刻は8時半。まぁ…暇人なんで10時までにお引越しの準備は出来るのだが、突然言われたことによってほっこりタイムも強制終了したのだ。
今いる病棟は脳神経外科病棟。入院時に他に空いている部屋がなかったので、ここの病棟でお世話になっていたのだ。もともと仮のベッドだったことはわかっていたが、お部屋移動があるとしたら血液内科病棟だと言われていた。だが、それは検査結果が出てからだと聞いていたので、この時期にまさかの神経内科病棟へのお引越しだとは思いもしなかった。
若干の入れ替わりがあったが、2人のルームメイトとは長く一緒の部屋で過ごして、会話はそんなにしなくても穏やかな友好関係が作れたいいお部屋だった。
入院中のお部屋の空気は全てルームメイトで色が作られる。姐御肌のご婦人が仕切る部屋が一番きつい。それに当たった回はヤンキーグループの下っ端になったような感じがしてちっともくつろげなくなるからなのだ。
どうか新しいお部屋に姐御が居ませんように。
そして転科の時間がやってきて…。一つ上の階の11階にお引越しをしたのだった。
お世話になります。よろしくお願いします。
今度は窓側のベッド、明治大学の高いビルと御茶ノ水駅周辺から神保町方面が眺められる景色のいい場所だ。同じお部屋の人達はみんなカーテンを締め切っているので、どんな人が患者さんなのかはわからない。
しばらくすると隣りのベッドから看護師さんとの会話が聞こえてきた。
「点滴すんの?あーだめだめ。右手はあたしの利き手だから、針は左手にしてちょうだい」
大きなダミ声。イヤな予感がする…。
幸い部屋には子分姐御が居ない様子。聞き役が居ないおかげで部屋は基本的に静かなのだが、反動で看護師さんや先生が来た時には質問だの頼みごとだのをしてなかなか帰してあげない。
やっと静かになったわ。
すると…
「おっとっとっと」
「あれ、取れない」
治療中で今一人で動けない姐御がどうやら物を落とした様子。
「あの、よければ取りましょうか」と声をかけたら「あ、だったら悪いんですけどね、ついでにそれも取って」と早速ジュースを指差された。
くわばら、くわばら。
足元側の二人の患者さんはどうやら若い女性の様子。気配が感じられず姐御の独り言にも返事をしない。
看護師さんも先生も姐御の所に来たら、「あたしの話」を聞かされ使いっ走りをされている。お願いごとは結構なわがままな内容なのだが、ゴリ押しでねじ伏せていて看護師さんも押され気味だ。姿は意外にも五分刈りに近いシヨートカットの体育の先生風。
まだルームメイトになって半日なのに、よくしゃべるので既にいろんな情報を知ってしまった。
8月一杯は入院になりそうなんだって。
仲良くなったら使いっ走りになっちゃう。
そうね。私も気配を消そう。
足元の二人に習って。