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投稿日:2012年07月20日

2012年07月20日

夕べ水下剤を吐いたことで、今日の大腸の内視鏡検査の予定が一旦保留になった。
消化器科の担当の先生が来るのが8時半か9時頃なので、先生が来られたらまずは相談をしてみるということだそうだ。予定通りだったら、今朝は6時から既に腸内洗浄の薬品水2リットルを飲みはじめていたが、そう聞いた時点で7時をとっくに過ぎていた。
検査は私の予想では“なくなる”方向、少なくとも今日は中止だろう。そのつもりでいたのだったが…。
消化器科の先生が病院に来るのが、今日はお昼頃ということがわかってから、予定は少しずつ予想とは別の方へと動き出したのだった。
まずは私の体調が今日はいいということを何度か確認され、あれ?と思っていたらそこから10時半を過ぎた頃に、風向きは“検査をやる”へと移って行き、あれれれれ?と思っていたら、11時に2リットルの腸内洗浄液が目の前に置かれていた。
こ、これを今から飲むんでしょうか。
私は真面目な性格だ。一応トライしてみてダメだったらすぐにやめていいからと言われても、あとちょっとだけ頑張ろう精神がムクムクっとわいてきてしつこくぶら下がってしまう。
この2リットルを…制覇することに急に根性が芽生えてきた。それにしてもこれを2時間掛けて飲むという指示だが、予定では13時に検査ということならもうギリギリじゃないか。
過酷なレースが始まった。
最初はお茶として飲みはじめ、キツくなってきたらご飯を食べているイメージに切り替え、腸内洗浄液なのでその間トイレにも足しげく通い、そうして“もう、さすがに飲めない”と思うと、飲兵衛の友人知人の顔を思い出し、「私も今日は飲むわよー」と酔っ払いな気分を味わい、以降は飲み会でヤケクソになって飲んでいるシチュエーションでなんとかゴールにたどり着いたのだった。
きつい…。くたびれた…。
うなだれていたら、「検査に呼ばれました」と声を掛けられた。
えっ、もうですか?
驚いているうちにお迎えの車椅子が到着し、そのまま検査室への移動となったのであった。
おかげで検査前のドキドキの時間がなく来れたので、憂うつになる暇もなかったが、検査室に入ると「痛い検査」であることがまた恐怖に変わってくる。
”痛い”にもいろいろあると思うのですが、どんな”痛み”なんですか。
胃の内視鏡の時と同じ黒ホースが掛かっていて、これで検査をするのかと思ったらそれだけでまた恐怖に覆われたのであった。
「じゃあ、はじめますね」
そしてゆっくり黒ホースが入って来たのだが…。
あれ?
痛くない⁈
多少違和感はあるものの、痛みはなく思ったより穏やかな検査なのかと思った…その時に…。
「痛ぁああ〜っつ」
さっきのは、まるでジェットコースターが頂上に上がるまでの序章でしかなく、こ、こ、これが噂の「痛い」検査の正体だったのか。
とにかく痛い。お腹が破裂するんじゃないかと思うような痛みが、黒ホースが腸壁に当たって進むと起きる。冷静なもう一人の私をよそに、暴れ猿に変身した私は、うぎゃーと叫びが止まらずついに鎮静剤を打たれる処置を受けることになったのだった。
あららららー。
頭が、ぼぉ〜っと…あららら…。それにクラクラします…。
鎮静剤作用はすごい。あんなに痛がっていたのがピタッと収まって、あとは大人しくボンヤリしたまま一緒になってカメラに映る自分の腸を眺めて、「これが私の腸壁なのね」と、まぁ深く考えられない頭になって検査を終えたのだった。
先生は、「痛くしてごめんね〜」と何度も大声で叫んでいた。確かに優しい内容の言葉を口にしてはいるのだが、それに反して、形相はあきらかに「ごめんね」ではなかった。人間、やっぱり心ん中はオーラとして醸し出されるものなんだなぁと妙に感心し、同時にものすごく怖かった。
検査、無事終了。
検査が終わると、また胃の内視鏡の時と同じようにバツの悪い私に戻るのだ。さっきの暴れ猿はわたくしでございます。今、どれぐらい大人のトーンで大人な受け答えをしても、本性を見られてしまったという気分で恥ずかしさいっぱいになる。
病棟に戻ったらホッとした。
そして何より検査の結果が特に問題がなかったという報告をもらってホッとする。
夕飯が美味しかった。
なんでもない病院食も、二日ぶりに食べられたということと検査の結果一つでこんなに美味しく感じるのであった。