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投稿日:2010年11月12日

2010年11月12日

放射線治療が終わってからフラっと上野の国立博物館に行った。
何故か私は上野公園の辺りが好きなのだ。東北から上京をした人にとっては「上野」は乗り継ぎで利用するので馴染み深いと聞いたことがあるが、それなら私の思い出らしい上野の思い出は、子供の頃に上野動物園にカンカン・ランランを観に連れていってもらったことぐらいしかない。
それなのにたまに上野の辺りに行きたくなるというか、恋しくなるのだ。
いつか前世占いをやったら、私のスタートはカブトガニだった。カブトガニから現在に至るまでのどこかで、私は上野に縁のある暮らしをしていたのだろう。池のコイだったか亀だったかの回があったのかもしれない。行けば懐かしい気分になるのだから不思議なのだ。
ここら辺の美術館や博物館はいつ行っても、外国人観光客がやって来て写真をバシバシ撮っている。日本っぽいところが見たいのなら、もっと普通に電車に乗って適当に人が降りる駅で降りてブラリ商店街を歩いた方がリアルな感じがするのだが、結構本人達は盛り上がっていたりしているので、私も知らん顔で過ぎている。
「Oh〜」
と、小さく感嘆して若者が展示物を観ていたりする。
多分、<ヨクワカラナイケド、キットスゴイモノナンダロウ>という感じなんだろう。
確かに仏像は大きさに関係なく厳かなオーラを放っている。
「Oh~〜〜〜〜」
巻物になるとやっぱりちょっと日本っぽいのだろう。
<ナンテカイテアルノカ、ワカラナイケド、キットスゴイモノネー>
いやいや、私も何て書いてあるのかちっともわからない。それどころかここに居る他の日本人もわからないと思う。いろいろ展示物には書物などもあるのだが、よく考えてみたら私が読める文章は昭和中期以降の書物でかろうじてやっとというところじゃないか。
ここに来ている日本人もみんな外国人と同じようなもんなのだ。
博物館を出てからうなだれた。
巻物コーナーではとうとう一つも文章を解読出来なかった。
今まで自分は読み書き出来るのが当たり前のように思っていたが、ここ数十年使われている日本語しか読み書き出来ないと知って愕然としたのであった。