少し前にテレビで芸能人の誰だったかが今一番気に入っているという某ホテルの「食べるラー油」を紹介していた。
食べるラー油の中でも特別美味しいとのことで、試食した出演者達も「ほんっと〜に美味しい!」と絶賛していたのだ。
なんでもそのお店は今人気が集中していて、通販で購入しても注文が殺到しているのですぐには届かないらしい。
以前の私は美味しいものを食べるということにあまり興味がなかった。誰かが「すんごく美味しい!」と絶賛していても割とすぐに美味しいものの話のことを忘れてしまい、まずいものでなければ「割と美味しい」として満足をしていたのだ。
が、最近はちょっとだけ変わってきた。美味しいと言われているものの中で惹かれるものが、前よりちょっと増えたということなんだろう。テレビを見て通販で頼んだり、どうしてもアレが食べたいわと言って注文をしたり、友人のお勧めを聞いて電車に乗って買いに出かけたりするようになってきたのだ。
で、大絶賛されていた食べるラー油をテレビの放映後に早速頼んだのだった。
まだかな?まだかな?
本当に大人気商品のようで、一度出荷に時間が掛かっていることのお詫びメールももらった。
試食で食べたタレントさんが今までに食べたことのない美味しさ!と興奮していたっけ。
私も早く食べたい。
いつ届くのかしら。
そして待つこと半月。
とうとう食べるラー油が届いたのだった。
通販で頼んだのは2コセット。単品では売っていなかったので、まぁ一つは友人にあげればいいか。友人が知らなくて自分が知っている「美味しいもの」を紹介する時って、ちょっと手柄を立てた気分で嬉しいものなのだ。
そしてその日の夕食。
実は私は食べるラー油なるものを初めて食べるのだ。
炊きたての白飯にスプーンですくってまずは一口。
すると
「ジャリ、ジャリ」
と、口の中で音がした。
「ん?」
食感としては砂利を噛んだ時の「あっ」という違和感がしたのだが、砂利はもちろん入ってはいない。
「ふぅ〜〜〜む。」
食べたことのない食感。
これが第一印象であった。
もう少し食べてみないとわからないわ。
正直言って判断が出来なかった。
が、まぁまぁいいお値段がしたことといろんな材料が入っているということで、「判断が出来ない」こと自体認めたくなかった。
更にもう少し食べてみる。
「ジャリ、ジャリ」
こ、これでいいのですか。食べるラー油って。
「ん〜〜〜〜。」
よくわからないが、ガラスの破片を噛んでいるような謎な食感で、美味しいかどうか以前に私の口は「食べ物ではないようです」と言っていた。
今日来たばかりなのに、開けた方の瓶もまだ9割も残っている!
更にさらっぴんのが一瓶。
どうする?
どうするの、これ。
美味しくなかったものを、誰にあげればいいのだ。
「これ、ガラスの破片を噛んでるみたいでもう食べたくない!だからあげる」と、正直に言って誰かに押し付けるのか。
これが・・・美味しい絶品食べるラー油って本当?
が、事実売れているのだから絶品なんだろう。
それにしても私には味の記憶がない。
一瓶800円したんですけど。
「美味しいもの」がわからなくなってしまった。
おかかのふりかけが恋しい、なんともかなぴ〜食べるラー油初体験なのだった。