新聞を読んでいたら、ギョっとする記事を見つけた。
それは札幌のとある家でのこと。
お正月休みで函館から遊びに来ていた孫たちに、酔っぱらったおじいちゃんが「うるさい」と言って包丁やコップを投げつけて暴れ、結果おじいちゃんが逮捕されたという事件が起きたのだ。幸い孫達に怪我はなかったが、おじいちゃん家には孫3人で遊びに来ていたらしい。じいちゃんが暴れ出してから、函館に居る母親に連絡をして母親が警察に通報したのだそうだ。
じいちゃんは取り調べに対して酔っぱらって「そんなこと、知らない」と言っていたらしい。記事を読みながら<なんてしょうがないおじいちゃんなの?>と驚いたが、その直後につい昨日電話で話をした父のことを思い出した。
父はこのお正月を初めて隣町に住む妹一家の家で過ごした。
常々、頑固で変わりもんの父。
毎年行くショートステイをキャンセルして、孫が4人居る妹の家に行くと報告を受けたのは年末のことだった。
「来いっちゅ〜から、しゃーないし行くねん」
と、言っているわりに嬉しそうだった。
その様子を聞いて私もなんだか嬉しかった。
のだが・・・・・。
父は予定より早く自分の家に帰って来ていたのだった。
電話で理由を尋ねると、小さい孫はうるさくて、大きい孫はワシと会話がなく、だが一番イヤやったんはチビ孫にテレビのチャンネル権を奪われて好きなテレビが見れんかったということだった。
幼稚園児にテレビを取られたことが、<ワシに自由を!>の決定打になるのか。
その辺が私には理解し難いのだが、要は”自分の好きなように過ごせない”ストレスがmaxになったということなのだろう。老人の多くは孫が好きなのだと思っていたが、母方の祖母は私達孫をうっとおしがっていたし、父みたいに「ワシが一番好き」な老人もこんなに身近に居るので、「孫がやや苦手」なおじいちゃん、おばあちゃんの数は思っていたより多かったのかもしれない。
逮捕されたおじいちゃんも最初は我慢していたのだろう。
シラフじゃあもう限界だからと酒を飲んで気をまぎらわそうとしたのではないだろうか。
そうしてワシの家なのにワシが全然くつろげないことに対して、我慢の限界がついに来て、そこらへんの物をちびっこみたいにワ〜〜っと投げつけたのだ。
<みんなだいっきらい!ここはボクの場所なのに!>
老人の中にも幼稚園児は棲んでいる。砂場でキレて暴れている幼児のようになってしまったのだ。
記事を読んで他人事じゃないなぁと思った。
父、しげおっちは口が達者なので私の頭が疲れ切るまで話し倒して発散をする。逮捕されたおじいちゃんは、あまり口が立つ人ではなかったのかもしれない。
確かに孫はその場所を孫ワールド一色に変えてしまう。
父はまた家で毎日好きなテレビ番組を見て過ごしている。
普段は独居老人の我が身を嘆きながら、このお正月に「ワシはやっぱり一人でおるのが一番や」と再確認をした老人は少なくないのであろう。