日曜日は終日生徒さんのレッスン、渋谷に行っている。
レッスンは駅から少し遠いのと、帰りは少し不便な面があるので原付で行くことも多く、今日も原付で出かけたのだった。
途中、代官山のピーコックでお昼ごはんと飲み物を買おうと立ち寄る。
レジで支払いをしようとしたら・・・・。
財布がないことに気がついた。
「す、すみません。お財布を忘れてきてしまいました」
とっても恥ずかしい思いでレジを後にしたのだが、財布を忘れたということは免許証も忘れてきたということになる。
どよ〜〜〜ん。
とは言っても取りに帰る時間もなく、悩んでいる暇はないとばかりに不携帯と知って原付に乗ってそのままレッスンに向かったのだった。
携帯を忘れることは度々あるが、やっぱり財布の方が痛手は大きい。今警官に止められて「あんた、免許を持っていないじゃないか」と言われたら、財布を忘れてきたことをたった今知ったという演技をしようか。いや原付を止める料金さえ今持っていないんですよ。じゃぁあのまま放置してもいいってことなの!と逆ギレする方が私らしい。頭ん中はあっちゃこっちゃ人格が飛びつつも、実際は原付に乗りながら罪悪感でいっぱいであった。
無事到着したが、家から持ってきたお茶しか今日はない。
何も食べられないの?
休憩時間に雑貨屋さんに行ったりも出来ないの?
財布がないってわびしい。
そう考えただけで急に缶コーヒーが飲みたくなって来るので、余計にみじめな気分になるのだった。
人にはたくさん会うのに無人島な気分。
コーヒー、飲みたいなぁ。
おにぎり、食べたいです。
若い生徒さんがみんな金持ちに見える。いや、実際に今の私よりお金持ちである。
はふ〜〜〜っ。こんな気分は財布を忘れた時ぐらいしか味わうことはない。
バッグの中にあった昨日いただいたチョコレートが、私の心とお腹ん中を満たしてくれる唯一のオアシスとなってくれた。
レッスンが終わってさぁ帰宅。となった時に、また免許不携帯で原付に乗ってこのまま家に帰ってもいいんだろうかということでどんよりする。
だいたい電車賃がないやん。
いつも性能上、法定速度以上のスピードは出ないチョイノリに乗りながら、家に帰るまでずっと落ち着かない気分でいっぱいであった。
「ただいま」
財布に再会するとすごく安心した。
ダンボ、今日は無人島に行って来たんだよ。
ほっとしたぁあああああ〜〜〜〜。
財布を持って出たことのないダンボには、話しても絶対にわからないこのキモチなのであった。