ブォッ、ブォオオオオッ。
ブォンブォンブォン、ブルルルルン。
ブォーンブォォォォオン。
ウチの東の窓の向こう側の駐車場では今朝も斜め裏の家のご主人がエンジンを暖めている音がする。
音がするだけならまだいい。
しつこいアイドリングのせいで、排気ガスが私の家の雨戸と窓をすり抜けて家ん中まで入って来るのだ。
臭い。臭いです。
毛布を被ってブォンブォォォォォンがひとしきり終わるのを待っているのだが、冬になるといつもに増して長時間アイドリングをするので、いくらかの健康被害を私は被っているのだと思うのだ。
毎朝毎朝、本当にもう。
ご主人は私んちの雨戸が閉まっているので、朝が遅くて羨ましいと思っているかもしれないが、私はご主人の車が出て行くまで雨戸を開けるのを待っているのである。空気清浄機が「ゴォオオオー」と音を立てて赤ランプになっているのをご存知ないとは思いますが。
よく駐車場に掲げてある「アイドリング、ストップ」の表示を、私も雨戸の外に張りたい。そうでなければ、ご主人の車のフロントガラスに「アイドリング、ストップ」と張りたい。
だが、この辺りは昔からここに住んでいる持家の人達ばかり。無敵の私もやはりちょびっとは遠慮をしたり我慢もするのだった。
エコカーのコマーシャルを見る度に思う。
ご主人の家もエコカーにしようよ。
私、いつまで我慢しなくちゃいけないのかしら。
排気ガスのひどい場所に住むと女性でも鼻毛が伸びるのだそうだ。
毎日毎日、私は他人の家の車のおならを吸っている。
健気に我慢したところで、私は果たして女性らしいと言えるのか。
いいえ、悲し過ぎますわ。
耐えて耐えて・・・・健気どころか鼻毛女になってしまうのかもしれないのである。