夜、ダンボを連れて散歩に出かけた。
私がダンボを連れて散歩に行くルートは、近くの緑道ルート、近くの図書館に本を返しに行くルート、近くのポストに郵便物を投函しに行くルートのだいたい3ルートなのだが、日が暮れてからの緑道ルートは今恐怖の道となっているのだ。
この時期の夜は、もうすぐ寿命を終える蝉達が「ゲゲ」と言いながら、最後の力を振り絞って飛ぶ頃となり、それがどうしても私にはダメなのだった。
外だけでなく、私の家の窓にも「ゲゲ」と言いながら「ゴン!」と当たっている。
可哀想に思うのだが、すごい力で当たって来るのが可哀想を越えて怖い。
「ゲゲ」
「ゲゲ」
「ゴン!」
電灯の辺りに今日もこういう蝉が飛んでいた。
<なんでこっちに行かないの>
ダンボは一瞬腑に落ちない様子で私を見る。
説明してもいいのだけど・・・・。
どこまでキミは理解出来るだろう。
「おやつあげるよ」
おやつをあげるだけでなんでも納得するダンボ。
昼はよいよい、夜は怖い〜♪
こわいながらもとぉりゃんせ、とおりゃんせぇ〜〜。
蝉くん、ごめんよ。
蝉が居る道は、夜は怖い道なのだ。