今日は京都では五山の送り火。この日が終わると京都の夏は残暑の頃に変わるのだ。
神戸は山の中腹あたりまで家が建っていたり、イカリマークの電飾が山にあったりするので、山を見上げる形でのぞむ景色が神戸ならではの感じがするが、京都の夜は山に目をひく明かりがないのでこの五山の送り火の時だけ、夜に山を見上げる。
もうすぐ点くよ。
まず大の字が東に見えて、そして時間差で妙、法が点いて、最後に鳥居の形が浮かび上がる。
「見えた?」
「あっちの方」
花火のような華やかさはない。
小さく遠くに文字が見えて、「うんうん、見えたよ」「あぁ、あれだね」と会話をしながら、その文字がだんだん燃えて薄くなって最後に消える。蒸し暑いまったりとした空気がまとわりついて、また何もなかったかのように山は明かりのない夜の色に変わるのだ。
ご先祖さまは、ちゃんと今のお家に帰れたかしら。
京都の夏は五山の送り火を見送ったら、それを境に夏も見送る頃に変わる。
山の明かりはまたいつものように比叡山の西側、ケーブルカーの明かりだけが、流れ星のように白く線を描いて浮かぶだけ。
また来年、また来年会いましょう。