地下鉄に乗っていたら、新宿で乗って来たと思われるおばちゃんがデカい声で携帯電話で話し出した。
「今、電車の中だから」
と、言って電話を切る人はいるが、この人はそう言いつつその後も電話を切る様子もなく遠慮がない感じで会話をしているのだった。
電車の中で大声で話せる度胸があるなぁと思ったが、地下鉄なのに電波がよく途切れず話せるもんだ。
「もうすぐ四谷に着くから」
「うんうん」
「そ、もう次だから」
「もうすぐだから、もう切るわ」
そして電車が到着し、デカい声のおばちゃんは電車を降りていった。
・・・・。
シーーーーン。
＜はぁ〜あ。うるさかった＞
車内は割と空いていたが、座っていた人達はみんなこう思っていただろう。また電車の中は静けさを取り戻したのだった。
そこへ車内アナウンスが流れてきた。
「次はぁ〜、四谷〜。四谷〜」
え？さっきの駅が四谷だったんじゃなかったの？
おばちゃんが「もうすぐ四谷だから」「もう着くから」「切るから」と話していて、それで降りて行ったので、さっきの駅が四谷だと思っていたのだった。
おばちゃんはもしかしたら今頃「ここ四谷駅とちがうのん？」とまたデカい声で独り言を言っているかもしれない。
電話をしていなければ、こんなミスはしなかったであろうに・・・・。
少し可笑しかった。
それになんだかスカっとしていた。
やっぱり車内での携帯電話はやめた方がいいのである。